猫の名前を呼ぶと、犬がそっちを見る
先日、はじめて気がついた。
私が猫の名前を呼ぶと、うちの犬が猫のほうを見る。
何年も一緒に暮らしているのに、今まで気づかなかった。
調べてみると、別に珍しいことではないらしい。犬は同居のほかのペットの名前を覚えることがある。訓練された犬なら何百語も聞き分けた例があるそうで、うちの犬が特別に賢いわけではないようだ。
なんだそういうものかと、ちょっとがっかりした。
自分の名前では、来ない
ただ、ここからが本題だ。
うちの犬は、自分の名前を呼んでも来ない。
聞こえているのに無視。
でも、これは犬あるあるなので、別に良いと思っている。
犬だって、特に用事もないのに、いちいち愛嬌を振りまくのも疲れるだろう。
散歩中など、危険があった時の声掛けにはちゃんと反応するので、それで十分。
そんな愛犬なのだが、なぜか猫の名前には反応する。
たぶん、「猫」が関わるからだ。
猫に対してだけ、厳しい
うちの犬は、猫に対してだけ厳しい。
私が猫をかまっていると、飛んできて猫に体当たりする。
ちなみに、犬は3kg、猫は4kgだ。
猫が私に甘えようと近づいてくると、追い払う。
この家で一番愛されているのは自分だと、完全に分かっている顔をしている。
ちなみに、後から来たのは犬のほうだ。猫は四歳のときにうちに来た。順番でいえば猫のほうが先輩になるが、まあ、そういうことは関係ないらしい。
で、ここが解せないところなのだが。
そんなに私を独り占めしたいわりに、犬のほうは、まったく甘えてこない。
室内での抱っこは嫌い。撫でられるのもそんなに好きじゃない。膝には長時間、乗らない。
猫を追い払ったあと、自分がその場所に来るのかと思えば、来ない。
さっさとどこかへ行ってしまう。
結果として、私の膝だけが空く。
私が、ベタベタしようとすると、目を閉じて無の境地に入る。
小さく口をカタカタ言わすので、たぶん「ちょっと嫌だけど、我慢しよう」と思っている、と思う。
飼い主は「資源」らしい
これは何なんだろう、とずっと考えていた。
犬にとって飼い主は「資源」なのだそうだ。食べ物や寝床と同じ枠にある。
そして資源を守る行動は、ライバルが近づいたときにスイッチが入る。
つまりうちの犬がしているのは、「私を独り占めしたい」ではなく、「猫が私にくっついている状態をなくしたい」なのだろう。
目的は排除で、接触ではない。
だから猫が離れた時点で任務完了で、自分も引き上げていく。
人間から見れば「独占したくせに使わないのか」と思うが、犬の側では最初から一貫している。
納得はしたが、釈然とはしない。
猫も結構高齢の域に達してきているので、もう少し優しくしてやってほしい。
管理職気質でもある
ついでに言うと、うちの犬は管理職気質でもある。
ごくたまに猫のテンションが上がって、家の中をダッシュしたり、爪とぎを始めたりすると、怒って吠えかかる。
急に動くものに反応する回路が犬にはあるそうで、そこが刺激されるらしい。
でも相手は家族なので追いかけて捕まえるわけにもいかず、行き場のない興奮が吠えに変わる。
あとは単純に、家の中で予定外のことが起きるのが気に入らないのだろう。
自分は甘えないくせに、秩序の維持だけはやっている。
猫のほうが、犬みたいだ
一方、猫のほうはというと。
ご飯の催促がうるさい。やたらとついてまわる。犬に追い払われても、しばらくするとまた寄ってくる。
階段を上がる時、ピンと尻尾を立てて、歩幅を合わせて隣を歩く猫を見て、
ときどき、猫のほうが犬みたいだなと思う。
憧れていた形とは、ずいぶん違う
私は犬のことを、いつも「私の赤ちゃん」と呼んでいる。
我ながらちょっと気持ち悪いが、そう呼んでしまう。
犬を飼うのが長年の憧れだった。全身でべったり甘えてくるような犬との暮らしを妄想していた。
実際に来たのは、呼んでも来ない、ベッタリもなし、でも猫が私に近づくと全力で追い払う犬だった。
憧れていた形とは、だいぶ違う。
ただ、最初に会ったときから、フレンドリーな性質ではないなと思う行動をしていた。
それならそれでいいか、と思って迎えた。
だから、これで良かったのだと思っている。
ずっと膝に乗っていられると、こちらの足が痛くなってくるし、乗せている間は身動きも取りにくい。
猫が何時間も膝の上にいた頃のことは、たしかに幸せな記憶だが、あれはあれで、動けない時間でもあった。
手の届く距離で、勝手に寝ている。
たぶん、今はこれくらいの温度感がちょうどいいのだと思う。
私の思う通りになることなんて少ない。今ある幸せを堪能すれば良い。
犬との暮らしは、一緒に散歩する幸せをくれた。
犬と暮らして7年になるが、こんなに家の周りを歩き回ることは、今までの人生ではなかった。
歩いている時に空を見上げることもなかったと思う。
そんな幸せをくれた愛犬に感謝。
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