日常のハプニング

「わしが出来る」に、付き合う技術(後編)

午後、父が実家から二メートルの脚立を軽トラで運んできた。窓のない真っ暗な部屋、こたつ机の上で重い照明カバーを支える。腰を痛めた。それでも明かりがついた時、三人ともホッとして嬉しくなった。母の混乱が、ひとつ終わった日。親の介護シリーズ・後編。
日常のハプニング

「わしが出来る」に、付き合う技術(前編)

朝五時二十分の散歩は快適だった。でも帰宅すると、父が「電気の傘を自分で外す」と言い出した。七十八歳、肩は上がらず、右手の腱は切れている。それでも止められない。「わしが出来る」に付き合い続けてきた娘の記録。親の介護シリーズ・前編。
日常のハプニング

認知症の母の嫌味に、泣きたくなった日

仕事帰り、疲れて帰宅した私に、母が「そんなに買う元気が凄いわ」と嫌味を言った。攻撃されたと思い、泣きたくなった。でも一日の終わりに気づく——母の攻撃性は、私の態度の跳ね返りだったのだと。鏡は、先に笑わない。認知症の親と向き合う日の記録。
日常のハプニング

「お母さんの進み具合は、早いと思うか」

お盆前の準備が、母にはもうできなかった。その夜、父がとうとう「進み具合は、早いと思うか」と聞いてきた。パーキンソンの新薬にすがる父に、私は介護認定とデイサービスをすすめた。認知症の親に、家族がようやく向き合い始めた夜の記録。親の介護シリーズ。
日常のハプニング

私は、娘であって、夫婦の代役ではない

朝から父が母を怒鳴り、母は私に助けを求めた。でも私は「二人のいざこざに巻き込まないで」と断った。私は娘であって、夫婦の代役ではない――認知症が進む母と、50年連れ添った両親のあいだで、自分の時間を守った休日。親の介護シリーズ。
日常のハプニング

母は、新しい洗濯機を覚えた

物忘れが増えてきた母が、新しいドラム式洗濯乾燥機を使えるようになるまでの2ヶ月。毎朝の不安や手順書づくりを経て、母は新しい家電を覚えました。高齢者の可能性を感じた、我が家の記録です。
日常のハプニング

30万円の洗濯機は、我が家に入るのか

高齢の母のために、我が家に三代目となるドラム式洗濯乾燥機を導入しました。過去の洗濯機選びの失敗や、築40年超の古い家に30万円の洗濯機を搬入するまでの騒動を綴ります。
日常のハプニング

蜂の巣は、人の来ない場所にできる

洗濯物の干場の段ボール箱に、手のひら大のアシナガバチの巣。スプレーで駆除した休日、母が来なくなった干場のことを考えた。蜂の巣は、人の来ない場所にできる——家族の老いと家の変化を、介護施設で働く看護師がつづる、親の介護シリーズ第16話。
日常のハプニング

疑われても、朝ごはんは食べる

二連休の朝、「ここに置いた物がない。動かした?」と母に疑われた。物盗られ妄想か。こういうのが介護者を一番消耗させる。線を引いて、自分の朝ごはんを食べる——心を守るための考え方を、介護施設で働く看護師が綴る、親の介護シリーズ第15話。
日常のハプニング

母に、友達ができるかもしれない

買い物から帰ると、冷蔵庫にデイサービスのチラシと知らない電話番号のメモ。月に一度の教室で、母に友達ができたらしい。「一緒に行ってほしそうだった」——主語がぜんぶお友達なのは、なぜ? 介護施設で働く看護師がつづる、親の介護シリーズ第14話。