送別会の日に、ぼんやり考えたこと

仕事にまつわる気づき

3か月の実習を終えて

3か月ほど施設に実習に来ていた、インドネシアの看護学生さん二人が、今日、最終日を迎えました。

送別会では、二人が中心になって、お菓子や軽食を用意してくれました。

日本に来てから大好きになったというホットケーキミックスを使って、クッキーやスコーンを焼いて、振る舞ってくれました。

利用者さんたちに配りながら、二人ともずっとニコニコしていました。


手作りのお菓子と、日本の歌

そのあと、ピアノ演奏をしながら日本の歌を3曲。

男性シンガーソングライターの親しい人への信頼を歌った歌と、女性グループのお母さんへの感謝の歌、それから最後は童謡の「ふるさと」。彼らがメインで歌い、分かるところは、施設スタッフ・利用者さんもみんなで歌いました。

最後の曲はちょっと音程が危うくて、途中から飽きてしまった利用者さんもいたけれど、それでも全体としては温かい空気でした。

みんな、「上手かどうか」より、一生懸命さを見ていた気がします。

最後には、それぞれ日本語で3分ほどの謝辞も話してくれました。

しかも、この流れを2ステージやったそうです。

お菓子を作って、歌って、日本語でスピーチして、それを2回。

大学生くらいの年齢の二人が、慣れない日本語でそこまでやり切ったのは、本当に大変だったと思います。

こちらからは、スタッフ全員でメッセージカードを書いて、アルバムにまとめて渡しました。

手芸が得意なスタッフさんは、20cmくらいのぬいぐるみまで作っていて、「ああ、こういうところは、なんだかんだアットホームなんだよな」と思いました。


「さみしい」と泣いた利用者さんと、エアバスケット

送別会の途中、一人の利用者さんが泣き出しました。

「さみしい」

そう言って。

3か月って、長いようで短いけれど、毎日顔を合わせていると、ちゃんと関係ってできるんだなと思いました。

送別会が終わったあと、その利用者さんと二人の実習生さんが、エアバスケットを始めました。

見えないボールを投げ合う、あの遊びです。

二人とも全力で、利用者さんも声を出して笑っていました。

あと数日で帰国できるという嬉しさもあったのか、二人ともなんだかのびのびしていて、利用者さんとの時間を純粋に楽しんでいるように見えました。

見ていて、なんだか可愛らしい光景でした。


緊張していた頃の二人

二人とも、本当にいい子たちでした。

でも、最初からうまくやれていたわけではありません。

言葉もまだおぼつかなくて、かなり緊張していましたし、どう動いていいか分からず、所在なさげに立っていることもありました。

大丈夫かな、と勝手に心配していた時期もあります。

それでも、毎日少しずつ利用者さんに話しかけて、日本語を覚えて、3か月間頑張っていたんだなと思います。


「来年戻ってきてほしい」と聞きながら

だからこそ、送別会の中で何度か聞こえてきた、

「来年また戻ってきて、ここで働いてほしい」

という言葉に、私は少し複雑な気持ちにもなりました。

もちろん、その言葉自体は本心なんだと思います。

3か月で、それくらい二人は現場に受け入れられていました。

ただ、私はこの施設の中のことを知っています。

決して、働きやすいことばかりの職場ではありません。

だから、未来のある若い人たちが、ここに就職することを、「良かったね」と手放しでは喜べない自分もいました。

もちろん、日本で働くこと自体が悪いとは思いません。

実際、母国で働くより給料が良い場合も多いのでしょうし、それは本人たちにとって大切な選択だと思います。

でも、日本よりもっと働きやすくて、もっと稼げる国もあるんじゃないかな、とも思ってしまいます。

そのへんのことを、彼らはどれくらい知った上で、日本を選ぼうとしているんだろう。

そんなことを、ぼんやり考えていました。


メロンのお礼に、社長室へ

そういえば、今日もう一つ、ちょっと不思議な光景がありました。

おととい、施設全体でBBQがあって、社長からメロンを頂きました。

14人で1個くらいの量です。

そのお礼を言いに行こう、という話になり、古くからいる上のスタッフさんのお達しで、スタッフ10人くらいが連なって社長室へ向かいました。

そして、みんなで揃って、

「アリガトウゴザイマシタ」

と伝えました。

実習生さんたちは、その前に別のスタッフさんに連れられて、お礼を言いに行っていたようでした。

私はその光景を見ながら、

「これ、彼らにはどう見えているんだろう」

と、少し気になりました。

へんてこな村の儀式みたいに見えたりしないのかな、と。

もちろん、感謝を伝えること自体は悪いことじゃないんです。

でも、ときどき日本の職場って、「空気としてやること」が多いなと思います。


彼らが、自分らしく働ける場所で

そんなことを考えながら、送別会の一日が終わりました。

あの二人にとって、日本での3か月が、あとから振り返った時に「悪くなかったな」と思える時間になっていたらいいな、と思います。

彼らが、これからどこの国で働くことになったとしても、自分らしく笑って働ける場所に出会えたらいいなと思います。そして、ちゃんと働いた分だけ報われて、あまり無理をしすぎずに生きていけたらいいな、と、勝手にそんなことも考えていました。


※プライバシー保護のため、一部内容を調整しています。


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