初めて、B型と言われた

暮らし

「ツんこさんは、優しいから……」

私は働き始めてから、何度もこう言われてきた。

「ツんこさんは、優しいから……」

この「……」の先には、いつも何かが続いていた。

「お願いしても大丈夫だよね」

「断らないよね」

という、期待のこともあった。

「利用者さんに、寄り添いすぎ」

「そこまでやってあげたら、他の人が困る」

という、注意のこともあった。

褒め言葉のはずなのに、いつも何かとセットだった。

動物病院で働いていた頃から、そうだった。

人間の看護師になってからは、もっと増えた。

そのたびに、なんとなく、もやもやしていた。

理由は、自分でもわからなかった。

もやもやの、正体

最近になって、その正体がわかった。

「優しい」という言葉が、純粋な褒め言葉として使われたことが、ほとんどなかったのだ。

期待の前振りか、注意の包み紙。

「優しいから、やってくれるよね」は、断る前から外堀を埋めてくる。

「優しいから……やりすぎよ」は、褒め言葉の形をしているから、言い返せない。

どちらにしても、嫌な顔をしたら、こっちが感じの悪い人になる。

だから、もやもやするしかなかった。

20年近く。

我ながら、律儀にもやもやしてきたものだ。

ブログタイトルの由来

このブログのタイトルは、「本日の優しさサービスは売り切れです」という。

「優しい」と言われ続けることへの、皮肉のつもりで付けた。

ただ、最近気づいたことがある。

「優しさはありません」では、ないのだ。

「売り切れ」である。

売り切れということは、在庫はあった。

朝、棚に優しさを並べる。

利用者さんに使い、職場で使い、家に帰れば親にも使う。

夕方には、棚は空っぽになる。

しかも「本日の」と付いている。

だから翌朝には、また仕入れて、また並べる。

優しさは、蛇口をひねれば無限に湧いてくるものではない。

毎日仕入れて、毎日売り切れる、在庫なのである。

私がいないところでも、営業している

最近、気づいたことがある。

私がいない場所から、別の看護師さんの声が聞こえてくることがある。

「つんこ看護師は優しいから、大好きじゃろ?私は怒る看護師だから、嫌よね〜」

利用者さんに、そう話しかけている声だ。

一度や二度では、ない。

本人としては、場を和ませる世間話なのだと思う。

でも、よく考えると不思議である。

そこに、私はいないのだ。

いないのに、「優しい看護師」という役柄だけが、勝手に働いている。

優しさサービス、本人不在でも営業中。

無人販売所か。

そして「私は怒る看護師だから」と言うその人も、自分に「厳しい役」を配って、立ち位置を説明している。

私たちは一人一人の人間ではなく、役割分担表の上のコマなのかもしれない。

あれは、私を褒めているのだろうか。

それとも、役柄の説明をしているだけなのだろうか。

今でも、よくわからない。

初めて「B型」と言われた

私はこれまでの職場で、いつも「A型っぽいよね」と言われてきた。

気配りをして、自分を後回しにして、期待通りに動く人、という意味だろう。

ところが最近、今の職場で、初めて言われた。

「もろBの性格」

看護師として一応言っておくと、血液型と性格に、科学的な根拠はない。

でも、日本語の隠語としては、意味がよくわかる。

正直、嫌な気分になった。

やってあげれば「優しすぎる」と言われ、ペースを守れば「もろB」と言われる。

どっちにしても、何か言われるのである。

たぶん、快方に向かっている

時系列で、並べてみる。

「優しいから……」と、言われ続ける。

そのたびに、もやもやする。

ブログに「本日の優しさサービスは売り切れです」と看板を掲げる。

初めて「もろB」と言われる。

——これは悪化ではなく、回復の経過記録なのではないだろうか。

どうせ、何をしても何か言われるのだ。

だったら、出す量は、私が決める。

今日も、優しさを棚に並べて働く。

売り切れたら、店じまい。

また明日、仕入れます。

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