休みの日だけ、6時半に起きられる
今日は、4勤1休4勤の、真ん中の休みだ。
「休み」という嬉しさだけで、6時30分に起きられた。
仕事の日は、少しでも眠っていたいし、腰の痛みと体のだるさで、起き上がるまでうだうだするのに。
結局は、心の持ちようが体に大きく関わっているのだろう。
朝の散歩は、上々
暑くなる前にと、愛犬の散歩へ。
顔見知りのワンちゃんと、あいさつをする。
帰る頃には日が昇って、かなり暑い一日になりそうな日差しだった。
ここまでは、良い休日だった。
「携帯が見当たらないから、鳴らしてくれる?」
犬の足を拭いて、汗だくの服を着替えていると、母が2階の私の部屋まで上がってきた。
「携帯が見当たらないから、鳴らしてくれる?」
また始まった。
最近、毎日だ。
母の携帯は、何コールかで、すぐ留守電になる。
だから、何度も鳴らしながら探すことになる。
私は家の固定電話から、かける係だ。
音の出どころを探して、部屋から部屋へ移動する。
結局今日も、目の前にあった。
食卓の、母の席のテーブルの上に。
作戦を、変えることにした
こちらも最初から「探す」体で取り組むから、こういうことになるのだ。
次からは、置いてありそうな場所を先に確認してから、電話で探す作戦にしよう。
……と考えて、気づいてしまった。
逆に言えば、母は、目の前にある携帯を探せないのだ。
見当たらないと思ったら、自分で探す前に、すぐ私に言いに来ているのか。
とにかく、イライラしてしまった。
「もう怖いわ」
以前、母が携帯を見失った時、自分の手書きの電話帳をみて、自宅の固定電話を使って叔母(母の妹)にヘルプを頼んでいたことがあった。「携帯が見当たらないから、電話をかけて」と。
私は、そのことを叔母からの折り返しの電話で知った。
その叔母から、言われていた。
「首からかけられるようにしてあげ」
面倒だと思って、伸ばし伸ばしにしていたけどやはり必要かと思い、ストラップを付けるために、母のスマホの型番を調べ始めた。
母のかんたんスマホは、長年使っている歴戦の戦士なのだ。専用のスマホケースのようなものが見つかるだろうか?
私が黙ってスマホを操作していると、横で母が言い募り始めた。
「もういいです」
「頼みません」
「何も言いません」
そして最後に、こう言われた。
「もう怖いわ」
そうだったのかもしれない。
でも、私は本当に、心が折れた。
頭をよぎる、いろいろ
こんな対応しかできない自分は、そろそろ限界なのか。
私に、レスパイト(休息)が必要なのか。
私といることが母を苦しめるなら、いっそ離れたほうがいいのか。
こんな悩みを抱えて、毎日しんどい気持ちで暮らさないといけないのか。
少し、一人になりたい。
洗濯機の前に、母が立っていた
無心で、風呂掃除と洗濯をする。
今日は暑くなりそうだから、シーツと敷きパッドも洗おう。
そろそろ終わったかと洗濯室へ行くと、母が洗濯機の前で立ち尽くしていた。
「ツんちゃんの洗濯だったの?終わりそうになっとったから、途中で止めてしもうたわ。どうすればええ?」
大きなため息が、出た。
この程度のことでイライラするなんて、私もかなり行き詰まっている。
……いや、違うのかもしれない。
イライラしたのは「この程度のこと」にではない。
毎日続くことの、100回目と101回目にだ。
それでも、ごはんの仕込みはある
今日も、次の4勤に向けて、食事の仕込みをしなければならない。
最近は、サボりがちだ。
今日も、副菜だけ作ることにする。
きゅうりの料理たち、高野豆腐、ひじきの煮物——慣れた、おなじみの面々。
メインは、冷凍餃子や、パウチのハンバーグや鶏の照り焼きに任せることにしよう。
なんか、しんどいな。
午後の私への、宿題
このままでは、せっかくの休みが「休めない休み」で終わってしまう。
午後は、少しでも自分が回復するような過ごし方を、想像してみることにする。
続きは、夜の私に任せた。
夜の私からの、報告
結論から言うと、いつも通り料理をして、一日が終わった。
きゅうり部隊も、高野豆腐も、無事に仕込んだ。
回復の実験としては、失敗のように見える。
でも、ひとつだけ、いつもと違うことをしていた。
黒い画面と、にらめっこ
昼前から、新しいAIを自分のパソコンに入れる作業に挑戦していた。
コーデックスという、コードを書くためのAIらしい。
看護師に、コードを書く予定は、ない。
それでも、使ってみたかったのだ。
黒い画面に、英語がずらずらと流れる。
赤い文字のエラーが、何度も出る。
そのたびに画面を撮って、別のAIに見せて、次の一手を教えてもらう。
AIの入れ方を、AIに聞く。
変な時代である。
一時間ちょっと格闘して、黒い画面の中で、新しいAIが日本語であいさつをした。
気づけば、イライラが消えていた
終わってから、不思議なことに気づいた。
朝は、あんなにイライラしていたのに。
エラーが何度出ても、作業の間は、一度もイライラしなかったのだ。
集中していたからだと思う。
散歩でも、昼寝でも、カフェでもなく。
私の回復は、「没頭」だったらしい。
頭を使う休み。
悪くない。
6年前も、ビビっていた
思い出したことがある。
6年前、初めてつみたて投資を始めたときも、私は画面の前でビビっていた。
口座の開き方も、インデックスファンドの買い方も、間違えたらどうしようと、おそるおそるだった。
6年たった今は、普通にできている。
それどころか、年々、理解が深まっていると実感できる。
何事も、最初は面倒で、難しい。
でも、小さい失敗を繰り返すのが、結局いちばんの近道なのだ。
やってみないとわからないことが、世の中には、たくさんある。
休めない休みの、終わりに
母の携帯は、たぶん明日も鳴らすことになる。
洗濯機も、また途中で止められるかもしれない。
それでも今日、私はひとつ、新しいことができるようになった。
若くなくても、挑戦は大事だ。
休めない休みだったけれど、無駄な休みでは、なかった。
明日からの4勤は、ぬるく乗り切ることにする。
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