満たされた昼食

仕事にまつわる気づき

要約

利用者Aさんとご家族からいただいたシャトレーゼのアイスクリーム。
苦手な相手だったのに、その善意が不思議と心に染みた。
忙しさの中で忘れかけていた“人の思いに寄り添う気持ち”を、
少しだけ取り戻した昼休憩の記録。


昼休憩のアイスクリーム

Aさんとご家族に、シャトレーゼのアイスクリームをいただいた。
コーヒーを淹れて、久しぶりにゆっくり座る昼休憩。
ほんの15分ほどのことだったけど、すごく豊かな時間だった。

正直に言えば、Aさんもご家族も得意なタイプではない。
要求が多く、対応に疲れることが多い。
「受け取れません」と断っても、いつも何か差し入れを持ってこられる。
今日はそれがアイスクリームだった。

それでも、その小さな善意のおかげで、
心の底から“ありがたいな”と思えた。


忙しすぎて、余裕を失っていた

ここしばらく、体調不良のスタッフが続いていた。
昼休憩を取ることもままならず、
とにかく働き続ける日々。

だから、この日ゆっくり休めたこと自体が嬉しかった。
コーヒーを飲みながら、心が少しずつほどけていくのを感じた。

きっと、こうして心に余白ができたからこそ、
Aさんの「口から食べたい」という気持ちに、
少しだけ寄り添って考える余裕が生まれたのだと思う。


寄り添いたいけれど、寄り添えない現実

Aさんは嚥下障害があり、気管切開をしている。
痰吸引は一日に十回以上必要な方だ。
それでも「口から食べたい」と希望され、
舌の上で味を感じたいと、口腔リハビリを強く望まれている。

けれど、施設としては誤嚥のリスクが高すぎて対応できない。
“安全のために断る”——それが私たちの立場だ。

Aさんのためだけに、毎日じっくりと時間を確保することはできない。
そんな人員体制を整える余裕もない。

でも、“食べたい”という気持ちは当然のこと。
それを完全に否定してしまうのは、
人としてどこか切ない。

この仕事には、
「正しさ」と「やさしさ」の間で揺れる瞬間が多い。


善意に満たされる

そんなAさんとご家族からいただいたアイス。
少し複雑な気持ちのまま口にしたけれど、
それは不思議と優しい味がした。

“苦手”な人からの差し入れで、
心が満たされるなんて思ってもみなかった。
でも、人の優しさって、
自分に余裕があるときにしか、
ちゃんと受け取れないものなのかもしれない。


忙しさの中で忘れていたもの

たぶん、これは私だけじゃない。
看護や介護の仕事をしている多くの人が、
忙しすぎて、本当に目指していた関わり方を
できなくなっていることがあると思う。

寄り添いたい気持ちは、
誰の中にもちゃんとある。
けれど、時間と体力に追われていると、
そのやさしさを出す余裕がなくなってしまう。

だからこそ、この日の昼休憩は、
ただの休憩じゃなかった。
人の思いに触れて、
自分の中の“看護したい心”を少しだけ取り戻せた、
大切な時間だった。

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